本書の内容
1.自由大学運動の歴史とその意義
長野県上田・小県地域から始まり全国各地にひろがった自由大学運動の生成から発展、消
滅にいたる全体像を明らかにするとともに、その歴史的意義はどこにあったのかを明らかに
したものである。
2.上田自由大学の成立とその展開
長野県上田・小県地域で展開された上田自由大学の約10年間にわたる学習運動の様相を、
その創設から中断、そして債権と消滅にいたる過程を明らかにしながら、できる限り具体的
に描いたものである。大正期と再建された昭和期では運営者や聴講者にどのような変化が見
られたのかに留意ながら検討を加えている。
3.新潟県における自由大学運動
新潟県魚沼地域に設立された魚沼自由大学(創設時は魚沼夏季大学)、八海自由大学、川
口自由大学の3つの自由大学について、それぞれ設立の経緯や運営者間の対立や連携と、そ
れぞれの自由大学の特色を明らかにしたものである。
4.伊那自由大学の設立とその展開
長野県下伊那地域に設立された伊那自由大学(創設時は信南自由大学)の設立の過程から
LYL検挙事件や社会主義青年運動に対する対応、支部組織による学習運動の展開をできる
限り具体的に描いたものである。伊那自由大学が下伊那地域の青年団運動や社会主義青年運
動とどのような関わりを持ちながら学習運動を展開したのかに留意しながら検討を加えてい
る。
5.福島県における自由大学運動
これまでまとまった研究がされてこなかった研究がされてこなかった福島県の自由大学に
ついて、福島県相馬郡原町に設立された東北文化学院の名称で設立されたことや、その設立
の趣旨、講座を明らかにし、自由大学運動の一翼を担うものであったことをあきらかにした
ものである。
6.唐澤正平と自由大学運動-松本自由大学と群馬自由大学-
唐澤正平が長野県蚕業取締所松本支所長時代に松本周辺の養蚕・蚕種農家の青年たちと松
本市に設立した松本自由大学と、唐澤が群馬県蚕業取締所に異動を余儀なくされたあと、前
橋市に設立した群馬自由大学について、その設立から消滅までを、唐澤の蚕糸一筋の生涯と
ともに明らかにしたものである。
7.タカクラ・テルと自由大学運動-タカクラの1920年代-
自由大学の講師として最も数多くの講座を担当し、また指導・助言者として土田杏村とと
もに自由大学運動を支えたタカクラ・テルが、自由大学運動にどのように関わり、どのよう
に思想変革をとげていったのかを明らかにしたものである。
8.自由大学運動研究の軌跡
1950年代に自由大学の存在が知られて以降、60年代後半から80年代にかけて自由大学運動
研究が現在まで続いているが、その70年間にわたる自由大学運動の研究史をまとめたもので
ある。
9.自由大学講座一覧
現在までに講座の開講が明らかになっている上田、魚沼、八海、川口、伊那、松本、群馬
の各自由大学と東北文化学院の講座・講演を一覧にし、自由大学での学びのおおよその状況
がわかるようにしたものである。
10.自由大学運動年譜
自由大学運動の歴史の流れが理解できるように年譜としてまとめたものである。
